紅麹サプリメントに
意図しない成分が入っていたことから
健康被害が生まれており、
波紋が広がっています。
(2024年3月27日現在)
この報道を耳にして、
「普通に売っている麹は大丈夫?」
「味噌・醤油・酒は変わりなく使えるの?」
と心配される方もいらっしゃるかと思いますので、
違いについて解説をします。
もくじ
1.味噌・醤油・酒に使われる麹の安全性について
2.麹と紅麹は別の菌種
3.麹とは何?何に使われているの?
4.紅麹とは何?何に使われているの?
5.まとめ:味噌・醤油・酒に使う麹と紅麹は別の菌で、味噌・醤油・酒は変わりなく使っていただけます。
6.参考文献リスト
1. 味噌・醤油・酒に使われる麹の安全性について
味噌・醤油・酒など、
日本の伝統的発酵産業に使われている
麹菌(こうじきん)については、
カビ毒を生成しないことがわかっています。
麹菌は日本において1300年以上も
食べられている経験則に加えて、
ゲノム解析により、
毒を生み出すような遺伝子クラスターが無く、
安全性が確認されています。
麹菌のゲノム解析は2005年に
独立行政法人 産業技術総合研究所により
Nature誌にも発表され、
安全性とともに日本の麹菌がもつ
酵素を生み出す力のもととなる
遺伝子が明らかになりました。
すごいぜ、麹菌!!
2. 麹と紅麹は別の菌種
日本の味噌、醤油、酒などに
使われる麹菌は、Aspergillus属、
紅麹はMonascus 属となり、
全く異なります。
3. 麹とは何?何に使われているの?
麹菌(学名:Aspergillus oryzae)は、
味噌、醤油、酒などの製造に
古くから利用されているカビの一種で、
日本の「国菌」とも言われている微生物です。
麹菌を蒸したお米に増やしたものが、
米麹です。
(※当社では、「糀」という字を当てます。)
麹菌が育つときに、
大量の酵素を生み出すので、
発酵食品を生み出すために欠かせないものです。
4. 紅麹とは何?何に使われているの?
紅麹菌(Monascus属)は、
中国や台湾、沖縄で
古くから発酵食品に利用されている
ベニコウジカビと呼ばれる菌です。
「豆腐よう」や「紅老酒」などに使われています。
紅麹そのものは伝統的に食べられてきました。
筆者は、発酵好きとして、
個人的にはこれらの食品も
美味しく食べてきたことがあります。
紅麹をサプリメントとして
成分を濃縮する過程で起こり得る課題に対して、
今後の研究で明らかになることを期待しております。
5. まとめ:味噌・醤油・酒に使う麹と紅麹は別の菌で、味噌・醤油・酒は変わりなく使っていただけます。
日本の味噌、醤油、酒などに使われる
麹菌は、Aspergillus属で、
紅麹はMonascus 属となり、
全く異なる菌です。
味噌、醤油、酒に使われる麹菌の安全性は、
長年の喫食経験のみならず、
ゲノム解析の観点からも証明されています。
味噌・醤油・酒は変わりなく使っていただけます。
6. 参考文献リスト
しょうゆづくりと麹菌の利用―今までとこれからー
(日本醸造協会誌, 2014, 109巻9号, p.643-650, 松島健一朗
https://www.jstage.jst.go.jp/
article/jbrewsocjapan/109/9/109_643/_pdf)
麹菌のゲノム科学と産業利用
(独立行政法人産業技術総合研究所, 2005,
https://www.aist.go.jp/Portals/0/
resource_images/aist_j/aistinfo/aist_today/
vol06_03/vol06_03_p12_15.pdf)
麹菌物語
(日本生物工学会, 2012, 第90巻7号, p.424-427, 北本勝ひこ
https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/
9007/9007_yomoyama_1.pdf)
文責:山本耕平(ヤマト醤油味噌)
あなたにおすすめの記事
商品を検索
発酵食美人調味料
SHOP MANAGER
店長:山本晴一
地元の酒造会社で修業を積んだのちに家業の「株式会社ヤマト醤油味噌」に入社。
修業時代の吟醸酒づくりにヒントを得た生の醤油「ひしほ醤油」を日本で初めて完成させた。
以来、フランスの三ツ星レストランをはじめ欧米の百貨店からも引き合いを受ける。
その後現在にいたるまで“あたらしい伝統食”を数々生み出している。
営業カレンダー
配送休み:土、日、祝日