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2020.10.01
発酵食品とは?
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店長ブログ

ヤマト醤油味噌 店長が語る 発酵食品とは?

ある食品が、目に見えない小さな生き物(微生物)の働きにより、新たな有機物に生まれ変わる事、あるいは変化する過程を指して「発酵」と言います。
その結果新たに出来上がった『発酵食品』って言うのは人間にとって有用なものを指します。微生物がカビ毒を出して人体に害を成す場合は、その変化を『腐敗』と呼び変えています。つまり、人間にとって、有用だと発酵と呼び、不要だと腐敗って呼びます。菌たちは、生きているだけなんだけど、人間様にとっての良し悪しで、発酵か腐敗かが、決まるんですよねえ。

「発酵食品が有用」だという意味は、本当は食べ物っていうのは、繰り返しよく噛んで、大きなエネルギーを消化器官で消耗して、つまり、代謝して(Metabolism)、体に取り込まないといけないところを、『発酵食品』を摂れば、香りも味も良くて、栄養豊富で、人間にとっては消化しやすい食品に変わっていて体の負担が少ない、やさしい食品だという意味です。
それで、その発酵食品を創る「微生物」って言うのには、3つのカテゴリに分類されます。

1)酵母類
2)細菌類(乳酸菌などのバクテリア)
3)カビ類(麹菌=アスペルギルス・オリゼー)
それでは、一つ一つ見ていきましょう。

出典:『糀のおはなし』ヤマト醤油味噌 小冊子より

1.酵母類

酵母には、ビール酵母やワイン酵母パン酵母などがあります。これは西洋にも東洋にも有ります。真核生物と言われて、空気中にも多く漂っていて、どこにでも見つけられるものです。アルコール発酵を起こすのは、この酵母です。また、旨味成分(アミノ酸)や、香り成分(エステル)を生成するのもこの酵母です。

味噌や醤油の木桶の内部に生息するのが、この酵母で、良く「蔵付き酵母」と言ってその蔵特有の旨味や香りを作り、蔵の個性が出るのはこの「蔵付き酵母」のお陰とも言えます。

余談になりますが、酵母は嫌気状態(無酸素状態)と、酸素が有る状態では、人間にとって働き方が異なり、酵母が人間の役に立つ=「発酵している」のは嫌気状態(無酸素状態)で、酸素が少ない中でも生き残る為に必死に活動するので、その結果産み出された物質、例えば、上記のアルコールやアミノ酸やエステル等が、人間にとっては有用な働きをして、有ればとっても助かるぜ!という結果を生んでくれます。酵母って発酵中は必須の微生物で、こいつは、無酸素状態では良いヤツ(人間と共生している運命共同体)です。また、お酒を醸造する時に使われる酵母と、味噌や醤油で使われる酵母は違っていて、味噌や醤油は「対塩性酵母」と呼ばれ、塩水中でも発酵する(活動する)チカラがある酵母で、学名ではサッカロマイセス・ルーキシイ(Zygosaccharomyces rouxii)と呼ばれています。

でもこいつが、酸素が有る状態では、「白いカビ」のカタチで味噌や醤油の表面に酵母カビとして現れたり、めんつゆや、シロップに生えると濁って(酵母がたくさんの子供を生んで)ぶくぶくと勢いよく炭酸ガスを出したりして、人間の食生活には邪魔者に変わります。

もともと嫌気状態では悪さをしないので、空気に触れて白いカビとして析出しても“カビ毒”はありませんが、風味は悪くなる。やっぱり酵母カビ、つまり白いカビは無い方が良いので、醤油やジャムやシロップなどは、加熱熱殺菌処理をしています。瓶詰前に殺菌しているのは、実はこの酵母カビ対策なんです。

酵母の大きさは5〜12μm(マイクロメートル;1mmの1000分の1)ほどで、髪の毛の太さ(0.1mm前後)の100分の1です。

2.細菌類

乳酸菌や納豆菌やくさや菌がこれに分類されます。乳酸菌も西洋や東洋にも広く世界中に見つけられます。味噌や醤油中にも見られ、発酵途中の乳酸菌は、ブドウ糖を食べて「乳酸」という酸っぱい味を産み、この乳酸は、「塩味」と「甘味」の間にブリッジ(橋)をかけて、塩味を隠して円やかな味に感じさせる働きをします。つまり、結構良いヤツ(人間と共生している運命共同体)なんです!

また乳酸が産まれると、味噌やしょうゆ等の発酵食品中のpHを下げ、酸性に保つので人間にとっては無用な雑菌を抑えて、発酵に必要な安全な環境を保つためには必須の良いヤツなんですよ。
大体の細菌は0.5〜5μm前後の大きさで菌類よりも一桁程度小さなサイズです

3.カビ類(日本にしかいないコウジカビ)

麹菌(アスペルギルス・オリゼー)がお米に生えた!これが、米糀(こめこうじ)

さあて、日本の国菌と呼ばれる「麹菌」、これは日本にしかいない、アスペルギルス・オリゼー君をご紹介させてください。
えっへん、なんと、彼ら/彼女たちは奈良時代から今日まで、1300年以上もの長い間、日本人が利用してきた発酵菌です。
1300年間以上もの長きにわたって使われ続けて来た、というのは何かとても良いことを我々日本人が生活の中で実感してきたからこそ、廃れずに、今も使われ続けているのだと思います。

麹菌も目に見えない小さな生き物ですが、その力は世界クラスです。
麹菌の凄さは、『世界一効率良く「酵素(enzyme)」を産出する』という事に尽きます。
そして、この「酵素」こそが発酵のスターターの(スタートスイッチを押す)役割をする、必須の黒子役なんです!

例えば、ビール醸造のスタートは、大麦を発芽させて麦芽を造る事にあります。この麦芽は、芽を出す時に大麦の内部に「酵素」を産出します、この酵素を利用して、麦芽のでんぷんを糖化して、アルコール発酵のプロセスに入って行きます。
それを日本人は、麹菌を使って「酵素」を生み出し、この糖化力や分解力を利用して、日本酒(どぶろく)・味噌・醤油(醤油もろみ)を醸して来た、という固有の日本食文化が出来上がったわけです。

麹菌が無ければ、日本の発酵食品はここまで多様な種類は出来なかったんじゃあないかと思います。凄いぜー、麹菌!

ちなみに、麹菌というのは、顕微鏡が無いとみることが出来ないんだけれど、この間びっくりしたのは、プロのカメラマンが持って居るデジカメと接写可能な大口径のレンズで、米糀を撮影したら、顕微鏡とほぼ同じくらいに菌糸が拡大されて見えてたまげましたよ!!!
凄いねえ、今のデジタル技術は!
もう今のカメラとレンズの組み合わせは、僕の子供時代の顕微鏡レベルを超えていました。

あ、もう一つ余談です。

ヤマト醤油味噌は、社名にある通り、醤油も味噌も両方を造っています。
「麹」と「糀」って字を使い分けしています。
この使い分けの仕方はご存知でしょうか?

麹と糀の字の使い分けの仕方について

醤油を造る醤油麹は、『蒸した大豆と、炒った小麦を粉に砕いてから、両者を混ぜ合わせたもの』に麹菌を生やしたもの、原料から『麦に菊の花が咲いた』=麦麹となるので、使う漢字は、「麹」の字です。

それに対して、味噌を仕込む時につかう「糀」は、『蒸したお米に麹菌を生やしたもの』。見た目が、お米に花が咲いた様子から「糀」の漢字を充てて識別しています。
つまり、麹菌を、穀物に生やすのが「こうじ」で、
麦に生やすと「麦麹」
米に生やすと「米糀」
糀菌を、大豆に生やすと「豆麹」と成ります。

麹菌そのものを、穀物を培地にして生育させると、「麦麹」や「米糀」になるという風に覚えてください。これで行くと、麹菌を生やす培地をいろいろな穀物に変えてやると、いろんな「○○(穀物)こうじ」が出来上がるはずで、それをいろいろやっているのが、今、フレンチのシェフの間で流行っているようです。

でも、痛快ですよね?

まず、発酵食品って、発酵は3つのカテゴリーの微生物の働きによる。
その中でも、「麹菌」は日本にしか無い=日本の「国菌」で有る事。
「麹菌」は今から1300年以上前(奈良時代)に日本で使い始めて、今でも使われ続けていて、それは麹菌が世界一効率よく「酵素」を産出する能力があるから!
世界広しと言えど、酵母も乳酸菌も麹菌もぜーんぶ入っている「発酵食品」はたったの5つ。その中に、ヤマトが作っている「味噌」も「醤油(醤油もろみ)」も入っているんです。
凄いぜ、日本の発酵食品は!!!

ヤマト醤油味噌 四代目 山本晴一


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店長:山本晴一
地元の酒造会社で修業を積んだのちに家業の「株式会社ヤマト醤油味噌」に入社。 修業時代の吟醸酒づくりにヒントを得た生の醤油「ひしほ醤油」を日本で初めて完成させた。 以来、フランスの三ツ星レストランをはじめ欧米の百貨店からも引き合いを受ける。 その後現在にいたるまで“あたらしい伝統食”を数々生み出している。

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