甘酒博士の発酵講座【前編】 腸内細菌の働きについて
糀蔵で日々菌と語り合い、菌を育む甘酒博士が語る「発酵」のホットな話、いい話。 知れば知るほど興味が深まる、神秘の世界をのぞいてみませんか?
甘酒博士・山本晋平 <プロフィール>
現ヤマト醤油味噌工場長。金沢大学工業化学科卒業後、東洋紡株式会社に勤務。その後、地元に戻り家業の醤油・味噌製造に携わる。東洋紡時代の先輩が金沢大学教授に就任したことをきっかけに、金沢大学の自然科学研究科物質科学コースに社会人学生として再入学。3年間の研究の成果を日本発の甘酒研究論文「糀甘酒の機能性に関する研究」にまとめた。
ヒトと腸のふかーい関係
今盛んに「腸内細菌を整えると体にいい」と言われていますが、なんで腸なの?というところは案外知られていないのではないでしょうか?
まあ、話せば長いんですが、ちょっと耳を傾けてください。
まず私たち人間とはそもそもどんな生き物なのか?
46億年前に地球が誕生し、35億年前に微生物が誕生し、5億年前に昆虫が生まれました。人間は300万年ぐらいなので地球の流れからいうと歴史は浅いのですが、食物連鎖で見ると、虫→鳥→動物→人間。人間は生命の頂点に立っています。
ところが1990年前後から急速に進んだ遺伝子解析によると、遺伝子の数はトウモロコシ4万、せん虫は2万。
食物連鎖の頂点にあり、複雑な遺伝子を持つと思われていた人間は2万2000だったんです(2004年に確定)。とうもろこし以下の遺伝子って…驚きですよね。
このデータが出ると、「じゃあ、人間っていったいどこが優れているの?」「人の本当の姿とは?」といった研究に注目が集まるようになってきました。その結果、人間は体そのものだけで生きているのではなく、体内の細菌と会話しながら生きているということが明らかになってきました。ヒトゲノム(人の遺伝子情報)からヒト・マイクロバイオウム(人体内の常在細菌叢)へと大きく関心が移ってきました。
人体の中に棲む細菌との相互関係から成り立っているヒト。そこから考えないと、ヒトの理解は進まないということがわかってきたんですね。
そしてスーパーコンピューターを使ってさらに分析が進んでわかってきたことがあります。
人の細胞は60兆個なのに、なんと腸には100兆個の腸内細菌が棲み着いている! そこから医師たちの関心が「腸」に向かい出したんです。
「たくさんいる腸内細菌は何かしているに違いない」とね。
人の常在細菌(マイクロバイオーム)
こうした動きになる以前から腸内細菌の研究を進めていた研究者が、光岡知足教授※。
今その研究があらためて脚光を浴びています。人体の菌はほとんど腸にいることがわかり、長年の研究がようやく日の目を見ることになったのです。
※現東京大学名誉教授。日本の腸内細菌研究の第一人者。
腸内細菌にいいものって何?
こうした研究から、人間の健康や食品を考える上ですべて「腸」が基本になっているということが盛んに言われ始めました。さらには「腸にいいものは何か?」に関心が高まってきました。
腸内では善玉菌・日和見菌・悪玉菌がバランスよく棲み、なるべく善玉菌を増やしていくほうがよいと言われています。その善玉菌の大好物が食物繊維とオリゴ糖、発酵食品なのです。
さらに、発酵食品は食物系統のものを発酵させることが多く、基本的に「食物繊維」「オリゴ糖」を含んでいます。そうした意味合いからも、発酵食品は複合的に良いものなんじゃないかなと思っています。私たちが「甘酒」を開発したのも、そのあたりに着目したからなんです。
発酵食品がいいというさらなる理由は、菌体が食べられるという点。味噌や酒粕はコウジ菌が入った「もろみ」ごと食べるので、菌そのものを食べることができる。コウジ菌や乳酸菌、酵母などが入ったもろみは腸の良いごちそうです。
少し前は「行きたまま腸に届く菌でないと、腸内環境をよくする効果はない」と言われていましたが、最近は「死んだ菌でもいい」と言われ始めています。
便の6割は腸内細菌の死がい。だから毎日補充する必要があります。日々排出されるのものだから、大腸の中で培養しなきゃならないんです。
生きたまま菌を摂取するという「プロバイオティクス」の発想がありますが、ほとんどが定着できないことがわかってきました。今、死菌でもいいと言われているのは、もともと腸内にいる菌のエサになり、菌が元気になって増やすことができるという考え方なんです。
糀甘酒の研究~日本初の甘酒研究論文誕生
私は昔の人が食べていたものは基本的に良い、と思っています。味噌や醤油、そして甘酒などですね。私は古くから日本人が何を食べてきたかに関心があり、以前から「甘酒」に注目していました。糀の甘酒はさかのぼること1400年前から飲まれていたんです。
現在よく知られている「酒粕甘酒」はせいぜい300年ぐらいの歴史しかありません。本来甘酒とは、糀甘酒のことだったんです。酒粕甘酒は戦後、日本酒メーカーが酒粕を再利用しようと砂糖を入れて「甘酒」として売ったところヒットしたという、意外と歴史の浅いものです。
当社では、2005年から糀の甘酒の製造をスタートしました。同じ頃、私は金沢大学の自然科学研究科で社会人学生として学び、甘酒に関する論文を発表しました。内容は、玄米甘酒・白米甘酒・酒粕甘酒を比較して抗酸化能を調査したもので、玄米甘酒が最も高い抗酸化能※を持つというデータが出ました。これが、日本初の甘酒研究論文です。
※活性酸素を抑える働き
当時まだ甘酒はそれほど認知度はありませんでしたが、栄養面にこだわって玄米甘酒を開発したので、「なぜ玄米で甘酒?」というお客様の疑問にお応えできればという目的もあったんです。
今日の甘酒ブームを見るにつけ、「やはり甘酒は良いものだった」との確信をますます強めていますね。
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店長:山本晴一
地元の酒造会社で修業を積んだのちに家業の「株式会社ヤマト醤油味噌」に入社。
修業時代の吟醸酒づくりにヒントを得た生の醤油「ひしほ醤油」を日本で初めて完成させた。
以来、フランスの三ツ星レストランをはじめ欧米の百貨店からも引き合いを受ける。
その後現在にいたるまで“あたらしい伝統食”を数々生み出している。
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