グルテンフリー入門!こいくち醤油の置き換え調味料には「いしる」がおすすめ
「グルテンフリー」は、有名スポーツ選手や有名モデルが実践していることから、数年前から広く知られるようになりましたね。健康維持やダイエットに効果があるのでは?そんなきっかけから興味を持った方も多いのではないでしょうか。
今回は、グルテンフリーとはそもそも何?という基礎知識から、本当にダイエットに有効なの?という疑問への回答、日常生活の中で活かせるグルテンフリーレシピまでご紹介します。
大切な毎日の食事を楽しんでいただくために、選択肢を広くとらえていただけたらと思ってこの記事を書きました。
小麦を原材料とするこいくち醤油の置き換え調味料として、一般的には大豆だけで作った「たまり醤油」を推奨することが多いのですが、実は国産の伝統魚醤「いしる」も置き換え調味料におすすめですよ。ページ下部にはレシピやリンクも用意したので、グルテンフリーの実践にぜひご活用ください。
また、こいくち醤油は原材料に小麦を使っているのにグルテンが検出されないという事実もご紹介します。
もくじ
1. そもそもグルテンフリーとは?
1-1. 醤油の置き換えなら魚醤「いしる」がおすすめ
1-2. 魚醤「いしる」は野菜にもよく合う
2. 初めて使う方には「いしるだし」も検討してみて
2-1. 「いしるだし」を使ったレシピをご紹介
3. まとめ
4.補足. こいくち醤油は小麦が原料なのに小麦グルテンが見つからない!?
5.番外. ヤマト味噌にも小麦は含まれていません
1. そもそもグルテンフリーとは?
グルテンフリーとは、小麦のたんぱく質である「グルテン」を含む食品を摂らない生活スタイルの事を指します。そもそも小麦には「グルテニン」「グリアジン」という2種類のたんぱく質が含まれています。これらに水を加えてこねると、粘り気のあるグルテンが生み出されます。グルテンはうどんのコシを生み出したり、パンの膨らみを助けたりするので、元々は決して悪い成分ではありません。
ではなぜグルテンフリーという食生活が提唱され始めたのでしょうか?それは欧米を中心に「セリアック病」や「小麦アレルギー」の方が近年増えてきたことによります。セリアック病とは、体内に摂取されたグルテンが免疫系を刺激して抗体を作ることで、腸内のバリアが効かなくなってしまうという病気で、欧米の方を中心に増えつつあるそうです。小麦の持つタンパク質そのものに反応が出てしまう小麦アレルギーとは症状が異なりますが、どちらもグルテンや小麦そのものを避けた食生活をしなくてはいけません。
またセリアック病ほど重い症状は出ないものの、生まれつきグルテンをあまり受け付けない体質の方もいらっしゃいます。小腸がグルテンに過敏に反応してしまう場合は「グルテン過敏症」、グルテンを消化しにくい場合は「グルテン不耐症」と呼ばれ、体質の自覚がないまま慢性的に体調不良が続くことも多いそうです。グルテンが受け付けない体質の方は、それらを避けた食生活を送ることで、疲れやすさやだるさ、胃もたれなどの慢性的な不調を改善させることができます。お心当たりのある方は、試しに2週間ほどグルテンフリーの生活を送ってみられるといいかもしれません。もし「いつもより調子がいい気がする」と実感されたのであれば、パンではなくご飯中心の和食に変えるなど、なるべくグルテンを摂らない食生活に変えたほうがいいと言えるでしょう。
ちなみに有名モデルの方がグルテンフリーを実践していることから、「ダイエットに効果がある」という印象の報道を見かけることがあります。ここまで見てきた通りグルテンフリーはあくまでグルテンが体に受け付けない方に効果があるので、グルテンフリーと体重減少は直接はほとんどの場合は関係ないでしょう。
でも、もしもグルテンフリーを実践するまで毎日のように菓子パンやラーメンなどの糖質や脂質が多めの食生活を送っていて、グルテンフリーを決意して和食中心の食生活に変わったとしたら、しかるべくして体重は落ちるかもしれません。主食だけではなく、小麦粉を使うクッキーやケーキなどのおやつについても意識的に控えるようになるので、結果として間接的にダイエットに繋がるという認識が広まっているのでしょう。
いざグルテンフリーの生活を送ると決めると、主食や間食のみならず、様々な食べ物の原材料についても検討する必要があります。唐揚げ粉や天ぷらの衣や、カレーのルウやホワイトソース、醤油といった各種調味料など、市販の多くの食品には小麦が使用されているのが現状です。(後述しますが、醤油からはグルテンが検出されないという事実もありますので主治医の方にご相談されたり、ご自身の判断でお選びください。)
こいくち醤油は和食づくりに欠かせないのに、その原材料に小麦が使用されているのであれば、どうやってグルテンフリーの和食を作ったらいいのか?悩んでしまいそうです。
そこで一般的におすすめされるのは、「たまり醤油」です。たまり醤油は、小麦を使わず大豆だけで作ったお醤油で、海外でもTamariとそのまま英語化されているほどグルテンフリー調味料としてポピュラーな存在になりました。
他に国産の調味料はないか?と考えると、実は、国産の伝統魚醤「いしる」がグルテンフリーの調味料です。ヤマト醤油味噌では、だしで割って使いやすくした「いしるだし」または魚醤原液そのものの「いしる」をご提案しておりますよ。次の項目で詳しくご紹介していきましょう。
1-1. 醤油の置き換えなら魚醤「いしる」がおすすめ
グルテンフリーの調味料をお探しの方には「いしる」がおすすめです。いしるは能登半島に古くから伝わる魚醤で、秋田のしょっつる・香川のいかなご醤油と並んで、日本三大魚醤とも呼ばれています。ヤマトのいしるは、国産の新鮮なイワシを塩漬けにして、1年以上もじっくりと熟成・発酵させることで作られます。大豆と小麦から作るこいくち醤油と違い、原料に小麦を使用していない魚醤は、グルテンフリーの調味料として活用できます。ただし、いしる原液の塩分は醤油よりも高く塩分20%を超えるので、ドボドボとつけたり、かけたりするのはオススメできません。つけ・かけに活用するときは、後半の「いしるだし」(塩分8%)をだし醤油感覚で活用してくださいね。
1-2. 魚醤「いしる」は野菜にもよく合う
いしるは発酵・熟成の段階で、魚介由来の動物性タンパク質がアミノ酸に変わることで旨味が生じます。そのため大豆や小麦などの植物由来の原材料から作られる穀物醤油と違って、がつんとした旨味と独特の香りが特長です。魚介由来の旨味が多く含まれていしるは、意外にも野菜との相性もいいんですよ。特に里芋や大根などの根菜類や、きゅうりやなすによく合います。簡単にできるいしるのレシピとして、ベン漬け(能登地方の浅漬け)の作り方をご紹介しましょう。
【いしるレシピ:ベン漬け】
材料
きゅうり・大根・なす・ミョウガなどお好みの野菜
いしる…適量
水…いしるの3倍の量
赤唐辛子…お好みで
作り方
1.野菜は食べやすい大きさに斜め薄切りに、赤唐辛子は半分に切り中の種を取っておく
2.ポリ袋に全ての材料を入れて、少しもみ込み、空気を抜いて袋を閉じる
3.1時間程、味をしみこませれば完成。よく味をしみ込ませたい場合は1晩程置くとよい
「ベン漬け」とは古くから能登に伝わる、いしるで漬けた野菜の浅漬けの事です。伝統的なレシピは、いしる:水=1:1で濃い目に作りますが、今回は他のお料理にも合わせやすいように薄味にてご紹介しました。早めに食べたい場合は、ぬるま湯で漬け汁を作ってもみ込むようにすると、味がしみ込みやすいです。生の野菜から作った漬物には、フィトケミカル(野菜由来の抗酸化作用などの機能性成分)やビタミンが沢山含まれているとされます。健康のためにも、積極的に食べたい一品ですね。
2. 初めて使う方には「いしるだし」も検討してみて
いしるはがつんとした旨味が魅力の調味料ですが、魚の風味も、初めての方はどのように活用すればよいのか、使い道に少し迷われてしまうかもしれません。もっと手軽にいしるを料理に取り入れたいという方には、「いしるだし」をおすすめします。
いしるだしはヤマトのいしる(イワシとイカの魚醤の両方をブレンドします)にカツオやサバのお出汁を加え、みりんで調味したいわば魚醤仕立ての「だし醤油」。お湯で8倍を目安に伸ばすだけでも、いしるの旨味がありますが匂いはきつくなく、ついつい飲み干してしまうような味わいに仕上がっています。こちらもいしると同じく、原料に小麦を使用しておらず、グルテンフリーを実践したいとき使っていただける調味料です。醤油をベースにした市販のだしつゆ・だし醤油と同様に、煮物やお鍋の味付けなど幅広くお使いいただけますよ。いしるだしを使った料理のレシピを、いくつかピックアップしてご紹介しましょう。
2-1. 「いしるだし」を使ったレシピをご紹介
2-1.いしるだしを使ったレシピをご紹介
【いしるレシピ:いしるだしのみぞれ鍋】
材料(2~3人前)
いしるだし…70ml
水…400ml
塩糀…適量
大根…2分の1本
お好みの白身魚(カワハギ・タラなど)
魚介類(ホタテ・カキなど)
きのこ類(しめじ・えのき・舞茸など)
青み(せり・三つ葉など)
作り方
1.下処理をした白身魚・魚介類に塩糀を塗り込んでおく
2.大根はおろし金ですりおろしておく
3.鍋にいしるだし・水を入れて熱しておく(いしるだし:水=1:6の割合でのばす)
4.具材を入れたら、周りにおろした大根をたっぷりと加える。最後に青み野菜を加えて完成
ぜひ汁ごと頂いてほしい一品です。いしるの独特の風味と大根おろしがよく合う他、塩糀が魚介の旨味をさらに引き出してくれます。いしるだしは水で伸ばすだけで、手間なく便利に味が決まります。
【いしるレシピ:いかと大根の煮物】
材料(2~3人前)
いか…1杯
大根…2分の1本
いしるだし…50ml
水…200ml
酒…大さじ1
作り方
1.いかは胴と足を分け、わたを取って皮をむく。胴は輪切りに、足は食べやすい長さに切る
2.大根は長めの乱切りにする
3.鍋にいしるだし・水・酒を入れて煮立て、いかを入れて色が変わったら一旦取り出す
4.大根を入れて蓋をし、柔らかくなるまで中火でおよそ20分ほど煮込む
5.いかを戻し、強火で煮汁を少し飛ばしたら完成
定番のいか大根も、いしるだしで作ることでぐっと風味豊かな仕上がりにできます。長時間煮込まなくても、すでにいしるの旨みが出汁に出来ているので、時短にもなりますね。いかの風味をより強めたい場合は、魚醤「いかいしり」(イカを原料にした魚醤)を、ティースプーン1杯、大根を煮るタイミングで加えるのもおすすめですよ。
【いしるレシピ:いしるだしのナムル】
材料(2~3人前)
もやし…70g
にんじん…2分の1本
ほうれん草…30g
ごま油…小さじ2
いしるだし…大さじ2~3
1.にんじんは細切りに、ほうれん草は食べやすい大きさに切っておく
2.耐熱ボウルにもやし・にんじん・ほうれん草を入れ、ラップをかけてレンジで4分ほど加熱する(600Wの場合)
3.一旦ザルに広げて水気を切り、粗熱を取る
4.ボウルにごま油・いしるだしを入れて混ぜ合わせ、3を加えてよく和える
5.味がなじんだら完成
ゆでた野菜にいしるだしとごま油を絡めれば、簡単にナムルが完成します。レンジでチンだけで作れるので、食卓にもう一品欲しいときにぴったりですね。
3. まとめ
今回はグルテンフリーに興味がある方に向けて、グルテンフリーとは何か?という基本から、醤油を使わず魚醤「いしる」や「いしるだし」を使ったグルテンフリーレシピについてご紹介してきました。
グルテンフリーは、セリアック病や小麦アレルギー、グルテン不耐症といった、小麦・グルテンを受け付けない体質の方が近年増えたことで広がった、グルテンを避ける食生活です。原料に小麦を含まない食品や調味料を選ぶ必要があるので、食べられるものにずいぶん制限が出てきます。
どうしても厳格にグルテンフリーを実践しなければならず、こいくち醤油さえ使うことができない場合は、一般的には「たまり醤油」が推奨されますが、国産の伝統魚醤「いしる」もおすすめできます。
いしるは魚介由来の強い旨味が魅力ですが、同時に独特の風味もあるので、初めての方にはだしで割ってある「いしるだし」のご利用もおすすめです。両方ともヤマトのオンラインストアで取り扱っています。お得な送料込み・送料無料セットにご希望の商品を混載することも可能ですし、合計10,000円以上のお買い上げなら送料無料になります。
大切な毎日の食事を楽しんでいただくために、選択肢を広くする一助になればと思ってこの記事を書きました。なにかと制限の多い中で工夫しながらグルテンフリーを頑張っておられる皆さんのお役に立てれば幸いです。
4. 補足:こいくち醤油は小麦が原料なのに小麦グルテンが見つからない!?
今回の記事では、醤油の置き換え調味料として「いしる」をご紹介しましたが、そもそも、きちんと熟成したこいくち醤油からは小麦グルテンが検出されないという事実はご存知でしたか?
食品アレルギー研究会には、「醤油の原材料に利用される小麦は、醸造過程で小麦アレルゲンが消失する。したがって原材料に小麦の表示があっても、基本的に醤油を除去する必要はない」と言及されています。
小麦グルテンは、醤油の発酵過程で細かい分子まで分解されて、完成品の醤油には(ほぼ)残っていないようです。機器による検出限界より小さい値にまでなっていて、小麦グルテンが検出されません(ND)。機器でキャッチできないほど小さいことがすなわちまったくゼロであるとまでは言えませんが、発酵の奥深さを感じます。
この記事をご参考に主治医の方へご相談したりご自身で判断していただくことが大前提ではありますが、それぞれの方の体質・症状によっては「こいくち醤油をあきらめなくても良い場合がある」ことは、補足させていただきます。
厳格に小麦をすべて排除する必要がある方には、「たまり醤油」や「いしるだし」、「いしる」をオススメします。
参考:食物アレルギー研究会 食物アレルギーの栄養食事指導の手引き(2017)
5. 番外:ヤマト味噌にも小麦は含まれていません
追記となりますが、グルテンフリーの調味料についてご紹介しますと、ヤマト味噌も小麦不使用です。
ヤマト味噌は大豆、米、塩を原料とした米味噌のため、小麦は含まれていません。また米味噌はこうじ味噌とも呼ばれ、甘みとコクのバランスが良く、クセなく全国を通してご愛用いただいています。
ヤマトの味噌は蔵に80年以上も伝わる木桶で熟成させるのが特徴で、糀のたっぷりの酵素が旨味やコクを引き出してくれるので、風味は豊かで、やさしい後味です。
健康の基礎は、やはり毎日の食事から。ご自身の体質に合うお食事を楽しんでいただけるよう、ヤマト醤油味噌では様々な調味料を揃えております。下の商品一覧からお進みください。
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SHOP MANAGER
店長:山本晴一
地元の酒造会社で修業を積んだのちに家業の「株式会社ヤマト醤油味噌」に入社。
修業時代の吟醸酒づくりにヒントを得た生の醤油「ひしほ醤油」を日本で初めて完成させた。
以来、フランスの三ツ星レストランをはじめ欧米の百貨店からも引き合いを受ける。
その後現在にいたるまで“あたらしい伝統食”を数々生み出している。
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